IoTの3要素「モノ・ネットワーク・クラウド」が体験できるワークショップです。

スマートフォンを「モノ」に見立ててデータを送信し、SORACOM の通信を経てクラウド上にデータを蓄積します。パソコンとスマホがあれば参加いただけます。

本ワークショップで体験いただけるのは2つです。

  1. スマートフォンへ SORACOM バーチャル SIM をインストールして SORACOM へ接続 (20分)。
  2. スマートフォンから送信したデータを SORACOM Harvest Data へ蓄積 (15分)。

利用するデバイスやサービスの紹介

セキュアリンク「SORACOM Arc」

VPN によって、IoT デバイスと SORACOM 間を安全につなげるサービスが SORACOM Arc (ソラコム アーク) です。

SORACOM プラットフォームには、後述するデータ蓄積や変換、転送等、IoT 開発で便利な機能があります。これらのサービス活用の前提には、IoT デバイスと SORACOM プラットフォーム間が、安全につながっていることが求められます。

LTEや5Gといったセルラー通信や、SigfoxといったLPWA通信は、通信自体が暗号化されているため、IoT デバイス上の実装において通信セキュリティの考慮は不要です。一方で、構内 LANや Wi-Fi のアクセスポイントから先のネットワークは暗号化されていない事が多く、アプリケーションで個別にセキュリティ対策(例:TLS)をする必要があり、IoT で利用するにはセキュリティの設計が不可欠です。

SORACOM Arc の利点

SORACOM Arc は、IoT 向け VPN サービスです。
技術的にはオープンソースの VPN 「WireGuard」を利用します。軽量であるため、組み込みデバイス向け実装も存在します(lwIP 向け実装lwIP実装を基にしたESP32 向け実装)。WireGuard 自体の仕様解説はブログ(オープンソースVPN 「WireGuard」とは?ホワイトペーパーから読み解く仕組みや実用性)もご覧ください。

SORACOM プラットフォーム上で発行できる「バーチャル SIM」には、接続に必要な認証情報が入っています。また、SORACOM プラットフォーム上では SIM として取り扱えるため、SIMや Sigfox等で使える SORACOM プラットフォームの機能がシームレスに利用できます。これにより、Wi-Fi 等の非暗号化ネットワークから SORACOM プラットフォームに安全に接続し、IoT 向け機能が利用できるわけです。

データ収集・蓄積「SORACOM Harvest」

IoT デバイスからのデータの収集や蓄積、およびファイルを保持できるサービスが SORACOM Harvest (ソラコム ハーベスト) です。

IoT では特にデータ活用が重要です。デバイスからのデータをいち早く確認したいという要望に対し、利用するクラウドが決まっていない、決まっているが準備が整わないために、開発スピードが滞る事があります。

SORACOM Harvest の利点

SORACOM Harvest は、 SORACOM 上のデータ収集・蓄積サービスです。
SORACOM のアカウントを持っている時点で即座に利用いただけます。機能のON/OFFはオンライン上で行うことができ、契約は1日単位であるため、開発時の必要時に絞って利用できます。

SORACOM Harvest は蓄積するデータの種類によって2つの機能があります。
IoT デバイスからのデータの収集・蓄積に対応しているのが SORACOM Harvest Data、画像ファイルやログファイルといったファイルに対応しているのが SORACOM Harvest Files です。

ここまで確認したら

次に進みます。

本ワークショップを行うためには、以下の準備を行ってください。

当日までに準備しておくこと

以下は、ワークショップ当日までに準備を済ませておいてください。

ワークショップ中でも行うことは可能ですが、時間の考慮はされていないため、時間内に作業を終える事ができない可能性があることにご留意ください。

#

備考

SORACOM アカウントの作成

SORACOM アカウント (オペレーター) を作成するを参考に、作成を済ませてください。

当日の持ち物

以下は、ワークショップ当日の持ち物です。

#

備考

パソコン

ワークショップテキストを閲覧したり、SORACOM ユーザーコンソール (Web管理画面) の
操作を行います。

  • Windows 10 もしくは 11 、macOS 12.0 もしくは 11.0 であること。
  • Wi-Fi によるインターネット接続が可能で、Webサイトへの接続制限が無いこと。
  • Google Chrome 等の最新ブラウザが利用可能であること。
  • 3〜4時間の連続利用が可能な環境 (特にACアダプター)
  • ※タブレットやスマホでの参加はサポート外となります。

スマートフォン

iOS 15以上、Android OS 10以上

SORACOM アカウント

事前準備で作成したSORACOMアカウントです。

ここまで達成したら

次に進みます。

VPN ソフトウェア「WireGuard」と「SORACOM Arc」のセットアップを行います。

セットアップの順序は以下の通りです。

  1. WireGuard をスマートフォンへインストール (SORACOM Arc で利用している VPN)
  2. SORACOM Arc のセットアップ

ここまで達成したら

次に進みます。

SORACOM Arc で SORACOM プラットフォームに接続するための VPN ソフトウェア「SORACOM Arc」をスマートフォンへインストールします。

インストール / iOS 編

App Store から「WireGuard」を探してインストールしてください。以下の QR コードをカメラアプリで読み込んでもインストールできます。

インストール / Android OS 編

Google Play から「WireGuard」を探してインストールしてください。以下の QR コードをカメラアプリで読み込んでもインストールできます。

WireGuardに設定する接続情報をSORACOMから入手します。接続情報は「バーチャルSIM」をSORACOM上で作成することで生成されます。

SORACOM ユーザーコンソールへログインする

SORACOM アカウントにログインからログインをします。

ログインが成功し、使用状況を一覧できる「ダッシュボード」が表示されることを確認してください

ユーザーコンソールの画面左上[メニュー]→[SORACOM Air for セルラー]→[SIM管理]とクリックします

「サブスクリプションコンテナに対応した新しい SIM 管理画面」に切り替えます

「切り替える」をクリックしてください。


以下のように「サブスクリプションコンテナに対応した新しい SIM 管理画面をご利用中です。」と表示されていることを確認してください。
※既に「新しい SIM 管理画面をご利用中です。」となっている場合は、次のステップに進んでください。

左上の「SIM登録」を押します。

SIM 登録画面で「バーチャルSIMを登録」を押します。

バーチャル SIM の作成画面の「二次元バーコードを表示」をクリックします。

表示された二次元バーコードを、スマートフォンのWireGuardアプリで読み込みます

iOS 、 Android OS 共に同じ操作です。画面は Android OS となります。

スマートフォンで、WireGuard アプリを開きます

「トンネルの追加」もしくは「+」をタップ

「QR コードから作成」もしくは「Scan from QR CORE」をタップ

ユーザーコンソールで表示している二次元バーコードを、カメラで読み取ります
読み取り後に表示される「トンネル名」に名前を指定して「保存」もしくは「Create Tunnel」をタップ

ここでは「SORACOM-Arc」としています。

以下の画面になれば成功です

ユーザーコンソールに戻り「閉じる」をクリックします

発行されたバーチャルSIMに名前を付けて、管理しやすくします。一覧画面で「名前」の所の鉛筆ボタンをクリックします。


例えば「Virtual SIM」といった名前を入力して、リターンキーで確定します。

ここまで達成したら

次に進みます。

トラブルシューティング

設定がうまく進まないときにご覧ください。ここまでの作業が出来ている場合は次に進んでください。

二次元バーコードを読み込む前に、画面を閉じてしまった

運営スタッフにご相談ください。


WireGuardを有効にしても接続できない

  1. SIM管理画面から該当のSIM(「サブスクリプション」が "planArc01" のもの)を探し、チェックボックスをクリックしてから左上の「詳細」を押します。
  2. SIM詳細画面の「バーチャルSIM」タブの「高度な設定」に進みます。

  3. 「バーチャルSIMの再初期化」を押します。
  4. 以下のように、WireGuardの設定が表示されますので、WireGuardにこの情報を再設定します。
    <YOUR_PRIVATE_KEY>の部分は最初に保存した設定の「PrivateKey」の値をそのまま使います。
  5. 「有効化」を押して接続できるかを試します

作業2では、データを SORACOM Harvest Data に蓄積して、そのデータを確認します。

手順は以下の通りです。

  1. SORACOM Harvest Data で蓄積できるように設定
  2. スマートフォンへデータ送信アプリ(HTTP クライアント)をインストールして、データ送信をする

ここまで達成したら

次に進みます。

SORACOM のサービスを利用するためには、SORACOMのWeb管理画面「SORACOM ユーザーコンソール」(以下、ユーザーコンソール)へログインします。

SORACOM ユーザーコンソールへログインする

SORACOM アカウントにログインからログインをします。

すでにログインしている場合は、次のステップに進んでください。

ユーザーコンソールの画面左上[メニュー]→[SORACOM Air for セルラー]→[SIM管理]とクリックします

バーチャル SIM を確認します

バーチャル SIM を確認します。

ここまで達成したら

次に進みます。

SIM グループを作成してから設定を行い、バーチャル SIM を所属させます。

バーチャル SIM にチェックを付け、[操作]→[所属グループ変更]をクリックします

SIM 一覧が表示されていなければ、[メニュー]→[SIM管理]と進んで、SIM一覧を表示するようにしてください。

[新しい所属グループ]をクリックして表示されるプルダウンメニューの中から[新しいグループを作成]をクリックします

グループ名を設定します

設定名

備考

グループ名

IoTワークショップ

値は任意(自由に設定可能)です。

変更後のグループが、先ほど作成したグループ名になっていることを確認したら[グループ変更]をクリックします

自動的にSIM 管理画面へ戻ります。バーチャル SIM に、先ほど設定したグループ名が割り当てられていれば成功です。

バーチャル SIM に割り当てたグループ名をクリックします

[SORACOM Harvest Data設定]をクリックして、内容を展開します

SORACOM Harvest Data設定の中で、以下の設定を行い、最後に[保存]をクリックします

設定名

備考

(なし)

ON にする

初期は OFF

このあと表示される「SORACOM Harvest Data が有効になっています」では、内容を確認の上[OK]をクリックしてください。その後「保存しました」と表示されたことを確認してください。

以上で、データ蓄積に関する設定は完了です。

ユーザーコンソールの画面左上[メニュー]→[SORACOM Air for セルラー]→[SIM管理]とクリックします

バーチャル SIM にチェックを付け、[操作]→[データを確認]をクリックします

表示された画面が「SORACOM Harvest Dataによる蓄積データ確認画面」です。[自動更新]をクリックして ON にします

この時点では、IoTボタンからはデータ未送信であるため「データが見つかりません」と表示されますが正常です。

自動更新をONにしておくことで、新しく蓄積されたIoTデータを自動表示できるようになります。

データが着信次第、この画面にデータが表示されます。

ここまで達成したら

次に進みます。

HTTP クライアントをインストール / iOS 編

App Store から「API Tester: REST HTTP Client」を探してインストールしてください。以下の QR コードをカメラアプリで読み込んでもインストールできます。

HTTP クライアントをインストール / Android 編

Google Play から「API Tester - REST HTTP Client」を探してインストールしてください。以下の QR コードをカメラアプリで読み込んでもインストールできます。

WireGuard を ON にする

WireGuard を開いて、先ほど作成した設定のスイッチをタップします

WireGuard の接続確認

"VPN" というラベルがステータス行に表示されます。

データの設定と送信をする

API Tester を開き、「Create new request」をタップし、その後「POST」をタップします

表示された画面では、以下のように設定します

URL

http://uni.soracom.io

標準では https:// となっているため、削除してから http:// としてください

Body

Raw

Content Type

application/json

BodyでRawを指定すると自動的に設定されるため、変更は不要です

Post Data

{"val": 1}

データ送信をする

右上の実行ボタンをタップします

No response message と表示されれば成功です。(SORACOM Harvest Data は HTTP 204 のみを返却し、返却データは存在しないためです)

ここまで達成したら

次に進みます。

データが SORACOM Harvest Data に表示されていることが確認できます。

表示を別の表現に変更してみる

SORACOM Harvest Data では、データをグラフ形式にしたり、位置情報に該当するデータがあれば地図へのマッピングもできます。

棒グラフでの表示の様子

送信データの例 (位置情報)

札幌駅

{"lat": 43.068585, "lon": 141.350711}

盛岡駅

{"lat": 39.700840, "lon": 141.137186}

新潟駅

{"lat": 37.912030, "lon": 139.061920}

東京駅

{"lat": 35.681325, "lon": 139.767144}

名古屋駅

{"lat": 35.170787, "lon": 136.882318}

高松駅

{"lat": 34.350737, "lon": 134.046762}

博多駅

{"lat": 33.589970, "lon": 130.420512}

首里城

{"lat": 26.217142, "lon": 127.719352}

日本経緯度原点

{"lat": 35.658745, "lon": 139.741459}

以上で、作業2「IoTボタンのデータを、データ収集・蓄積サービス "SORACOM Harvest Data" で確認」を達成しました。

あとかたづけと注意事項

WireGuard を OFF にする

WireGuard を開いて、ONになっているスイッチをタップします。

iOS なら "VPN" ラベル、Android なら鍵マークが無くなっていることを確認してください。

SORACOMサービス内の設定削除

SORACOMサービス内の設定削除、セットアップしたソフトウェアのアンインストールは自身で行ってください。

今回設定したSORACOMサービスは、以下4点です。

バーチャル SIM を SIM グループから解除、SIM グループの削除

SIM グループを削除するには、SIM グループ内の SIM をすべて解除する必要があります。

グループからの解除を参考に、バーチャル SIM を SIM グループから解除して、SIM グループを削除してください。

SIMグループ内の設定内容は、削除完了時点ですべて無効化されます。SIMグループの復活はできません。設定内容のバックアップが必要であれば、削除前にメモを取ってください。

SIMグループ自体の保管は無料です。

SORACOM Harvest Data のデータ削除

SORACOM Harvest Data は、データ保存から40日を超えると自動的に削除されます。また、データ保管料は無料です。よってこのままでも特に困りませんが、データの整頓を行いたい場合は、能動的に削除が可能です。

  1. SORACOM Harvest Data を開きます
  2. データ削除を行いたいボタン(SIM)を、左上の「リソース」から選びます
  3. 表示されたデータの中で削除したいデータにチェックを付け、[削除]をクリックし、[削除]をクリックします

データの復元はできません。ご注意ください。

バーチャル SIM の解約

バーチャルSIMの解約は、通常のSIMの解約と同じく、SIMを選択後、画面上部の[操作 ▼]をクリックし、[解約]をクリックします。

問題なければ、そのまま[解約する]をクリックしてください。

SIM一覧からバーチャルSIMがなくなっていればOKです。

WireGuard と HTTP クライアントの削除

OS 標準のアンインストール方法で削除してください。

費用について

ここで記載している金額はすべて税込、送料別となります。

SORACOM プラットフォームの利用料金

SORACOM Harvest Data を始めとした SORACOM プラットフォーム利用料は後述の通りかかります。

サービス/機能

料金

SORACOM Harvest Data

  • 本機能を有効にしたグループに所属する1SIMあたり5.5円/日 (2000リクエスト/日/SIMを含む)。
  • 2000リクエスト/日を超えた分は0.0044円/リクエスト。

SORACOM Arc

  • 初期費用(発行時): 1 バーチャル SIM/Subscriber あたり 55 円
  • 基本使用料(月額): 1 バーチャル SIM/Subscriber あたり 88 円 (バーチャル SIM/Subscriber 単独で利用する場合)
  • データ通信料: 1 バーチャル SIM/Subscriber ごとに 1 GB あたり 22 円

※ 費用詳細はリンク先をご確認ください。

本テキストついて / 謝辞

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また、本テキストのアイデアはSOARCOM ユーザーグループ(UG)の皆様のご協力によるものです。この場を借りてお礼申し上げます!
SORACOM UGは「IoTの仲間が集まるコミュニティ」です。どなたでも参加いただけます。日本各地での支部の開催や、オンラインイベントにぜひご参加ください!

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